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GB4についての顛末

 それは発表を遡る数日前に、英国サイドがこんな事を言ってきた事から始まった。

『インドのFIA F4、カルンは絡んで無いよな?』

 インドの話しだからそう思って当然だが、絡んでいない事を伝えるとホッとした様子で言葉を続けた。『経験値も無いのに主催者になってF4 をメチャクチャにして何考えてんだ。結局、英のF4は二派に分かれたよ!』

 

 その時は何の事だかピンと来なかった。しかし昨日のGB4の発表と同時に英国から連絡が来て、その内容に少々驚いた。

FIAは英国FIA F4の入札日を公表せずに入札を強行したと言う。

 来季からの英国F4への入札を希望していたプロモーターは二つ。ジョナサン・パーマー率いるMSVと、カルン・チャンドックのグループ。今までの英FIA F4はシャーシがミュゲールで正直、良いクルマでは無く、ちょうどシャーシの入れ替え時期が来たのでリプレイスして、新しくF4を設定し直しGB3(旧BF3)と整合性をとってやり直すにタイミングとしてはちょうど良かった。

 ところがこの英F4にカルンが入ってきた頃から、話しが急におかしくなり、今回に至る。

 MSVのアイデアはこうだ。

現在のGB3はFIA F4シャーシをベースに作っている。ちょうどGB3もシャーシチェンジの時期を迎えていたので、新型シャーシを導入。タトゥースの新型F4シャーシを導入し、それをベースにGB3を構築する。理由は簡単。信頼と実績。それに現行型との部品の共有率の高さ。

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 そこで余る現行型GB3のE/GをFIA F4規定のE/Gに換装し、空力関係のディメンジョンをFIA F4規定に合致させるだけで、スグにF4が完成する。現行のGB3のチームはそのまま参加でき、F4→GB3へのステップアップは容易になる。

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 そこでFIA F4のE/Gで実績のあるアバルトエンジンの供給元であるオートテクニカモトーリにコンタクトをし、E/G供給の約束を取り付ける。が、供給はするがサポートはしないと言う。ここでMSV は不穏な空気を少しずつ感じ取り始める。こう言うケースの場合、大概は他(直接的なライバル)からの話しが入っている時だ。

 そこでMSVはE/Gをオートテクニカモトーリから購入し、その管理を英国でBF3のE/Gをコスワースから引き継いだMountune社に委ねる事に決めた。

 一方のF4サイド。英国フォード社からECO Boostの供給を受けていて、フォード側としては継続の意思を示していたが、なぜかこれを蹴った。これが全くの謎行動。おそらくオートテクニカモトーリからアバルトの供給管理とサポートの約束を取り付けているのだろう。ここは憶測。

 そしてFIA F4の入札は、パーマーたちMSV側にはその日程すら知らされる事なく決定。カルンが務める団体へその権利が付与された。

 恐らくイタリア・ADAC・スペインと車輌を同一にしてやろう、あわよくば一部カレンダーを合流させようと考えているはず。

 ちょっと考えれば分かる話しだが、今、FIAがジュニアフォーミュラの何を問題にしているのか忘れたのか?簡単である。コストだ。イタリアの1シリーズで4,500万円から掛かる。ADACと掛け持ちすれば×2だ。チームもマシンとE/Gを用意し、部品を買い揃えればそれだけで初期投資で台当たり6-700万円。三台で1チームだから初期投資だけで2,000万円から掛かる。

 それは最終的にはドライバーが払って乗る訳なので、結果的に数字が跳ね上がる。分かり易い位に分かり易い構造だ。それを新車で買ってもE/G付きで450万円で仕上げましょう。一年間のランニングコストを引っくるめても2,200万円前後でシリーズ21戦に公式テストを含めて出来る様にしましょうとは、コストダウンを提唱するFIAにまさに合致した施策だと思うが、私の勘違いか?

 ともかくまずはGB4がローンチしたのは事実であり、これからどうするのか?を含めて、英国サイドと話し合わないとなりません。今年はドライバーが資金を用意できず、シーズン前半は参加を断念。後半から出たらいきなり表彰台と、訳分からない展開になってしまっていますので…

GB4  press release 日本語版

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