室井さんの映画、二本立てである事は分かっていたが前編・後編と言う表記が少なく、どっちが先なのか、さっぱり分からなかった。
新宿に行き、映画館の時間立てを覗く。
「ん?この時間だと午後か…参ったな…」
スマホで見て
「あ、渋谷なら45分後にあるぞ!」
大急ぎで渋谷へダッシュ!
で、見事にタイトルを間違える…
「意味不明…」
自分で自分を非難しながら新宿へ戻る。
結局、午後から前編の「破れざる者」を観て、翌日に「生き続ける者」を観ると言う流れに切り替えた。
考えたら朝食を食べていなかったので、映画を観る前にスシローに入る。
この値段で良くこのレベルの物を出すよ…マカオなら一皿400円は取る。
しかもレベルはかなり下。
TOHO シネマズ新宿の真ん前を見て記憶が蘇る。
この風俗店の無料案内所のところは三十年ほど前、立ち食い蕎麦屋だった。
当時、ここを寝城にした中国人がいて皆、手を焼いていた。この辺りを仕切っていたヤクザからしたら目の上のタンコブの様な存在だったに違いない。
それがある時、本を出していて驚いた。
今では政治家になろうといているとか?
ちょっと勘弁してほしい。
それがこの男だ。
日本と関わりある中国系の方々の間でもすこぶる評判が悪い。
彼を推しているのは同じ同郷の者だけじゃないか?と思う。
確か東北の出身だったと思ったが。
コーヒーを飲んでゆっくりした時間をとってから映画を見た。
最初は映画のテンポに自分の想いの速度が合わず、やや戸惑ったが、徐々に状況が理解できると、この作品の深みを感じながら見れるようになってきた。
そして後編に大きな期待を抱く自分がいる。
室井慎次の老いと戦いながら、未来へ進み、小さな子供を抱え、しかし過去を悔やむ思いを抱えるそれには、自分と重なる部分が大きく、涙無しには見れなかった。
かの有名な映画評論家は生前、
「映画で人生を学びなさい」
と仰ったが、まさにその通り。
この歳になると、教えを乞われることはあっても、教えてもらえる事はなかなか無い。
それ故に困難な状況になると覚悟を決めて、忍辱の鎧を纏い、グッと堪えて表情が変わるのを我慢する事が増えた。
と、同時に、
我慢出来る様になってきた。
夜、長らく会ってなかった友人と呑んだ。
友人は「安いけどイケる店ありますよ」と予約を入れてくれていた。
r.gnavi.co.jp確かにここのタレの焼き鳥はクセになる味だった。
友人は次の参院選に出ると言う。
自分なりにできるアドバイスをした。
可能性はあると思うが、推薦をもらう予定の政党が良くない。
いや、彼は色々抱えているからどのみちそこは困難であるが、ちょっとどうかなぁ?と言う思いでいっぱいになった。
二人で呑んだ後、〆の蕎麦屋へ行った。
r.gnavi.co.jp身欠き鰊の甘辛い味の染みた蕎麦のツユの味が、この日の寒い歌舞伎町の夜を歩いた自分の老いた身体の五臓六腑に染み渡った。